なつかしい日本の情景・たけなかアトリエ

墨絵イラスト

若い娘が決して覗かないでと言うのをつい覗いてみると、助けた鶴が自分の羽で機織りをしていました。

和風イラスト・鶴の恩返し(おとぎ話・昔話「つるのおんがえし」)

ある日おじいさんは罠にかかって苦しんでいる鶴を見つけて助けてやりました。
その晩、雪が降り積もる中、一人の若い娘が訪ねてきました。
「人を探していましたが、夜になっても見つからずどうか一晩泊めてください」というので泊めてやることにしました。
翌朝おばあさんが起きてみると娘は早くから起きだして、家の隅々まで掃除を済ませ朝ごはんの支度をしておりました。
身寄りのない娘はよく働き、おじいさんの家に住むことになりました。
ある日、娘はおじいさんに街で糸を買ってきてほしいと頼みました。
そして糸を受け取ると「決して覗かないでください」と言って部屋にこもって機織を始めました。
3日後に部屋から出てきた娘は、とても綺麗な綾錦という織物を織り上げていました。
娘に言われるままにおじいさんは街に売りに出かけると、その織物を気に入った殿様がとても高い値で買ってくれました。
そしてまた糸を買って帰ると同じように娘は部屋にこもって機織を始めました。
あの娘はどうしてあんな綺麗な反物を織るのだろう?と不思議に思ったおじいさんとおばあさんは、つい覗いてみると一話の鶴が自らの羽を抜いて機織をしていました。
3日後に新しい綾錦を織り上げた娘は「私はあの日助けていただいた鶴でございます。ずっとここで暮らしていきたかったけど本当の姿を見られてしまったのでもうここには居られません」といい、空へと飛び去って行きました。
おじいさんとおばあさんはずっと手を振って鶴が見えなくなるまで見送っていました。

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